安田イズム

04 至誠不動【シセイフドウ】

「公正な立場で、己を信じ正しいと判断したことを行えば、
周りの雑言に動じることは無い」ということを示している。

予期せざる事件と直面したとき、即決果断を取って過失を最小限にとどめることが、
肝要であると考えた善次郎翁は、即決果断の要件として、
1.沈着であること、
2.明敏であること、
3.勇気を持つこと、と考えた。
そして、これらの要件を果たすためには、
各自の精神が常に最も公正なる正道を踏むという根拠が示されるべきだとした。

善次郎翁の英断

善次郎翁は、各地で経営難に陥った銀行を救済し再建させた。その結果、それらがおのずと善次郎翁の傘下に帰すこととなったが、世間はこれらの救済を「安田は救済の美名の下に私利を営み、他人の悲境に乗じて自分の勢力を拡張するものである」と非難した。

大阪有数の大銀行である百三十銀行が日露戦争当時に経営難に陥った際に、時の総理大臣 桂太郎、大蔵大臣 曾禰荒助は善次郎翁に救済の相談を持ちかけた。善次郎翁は、この国運をかけた百三十銀行の救済の相談を一旦は断ったが、総理大臣らの連日連夜に亘る要請により、条件付ではあったものの救済に着手することとなった。善次郎翁は、世間から銀行救済の名の下に政府より金を引き出して私利を営むがごとく誤解を受けたが、「この事情の真相を発表すれば外国との経済的関係に影響を及ぼす」と考え、世論の意見に対して反論することなく誤解を甘んじて受け続けた。

世論の誤解にあえて反論しなかったことで、善次郎翁は自らの事業に悪影響が生じないかと心配していたが、実際には全く影響が生じなかった。

このことについて、善次郎翁は、国益の為の救済であるとの信念を持ち続けた結果であると、この時確信したのであった。

企業の継続的な発展に
必要な要素

今日の企業活動においても、私たちは遵法精神と倫理観を大切にし、公正で誠実な経営が企業にとっての王道であると考える。それは、同時に時代の潮流に流されることなく、堅実な経営を行うという強い意志でもある。この背景には、善次郎翁の「至誠不動」という、己を信じて常に最も公正なる正道を踏むという精神が今も受け継がれていることは言うまでもない。

安田イズム

安田財閥の創始者である安田善次郎翁の言葉を現代語に翻訳しながら、安田のDNAに流れる「安田イズム」をご紹介します。